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あおい風 あかい風
第10章 空港
 ママと 久しぶりに松本家を訪ねた。

 ごく親しい身内だけで 大輝の誕生日におこなう法要に出席できないため 「おまいりさせてもらいなさい」と諭されて 一年半ぶりに訪れた。
 おばさんは 泣きながらとても喜んでくれた。 白髪がめっきり増えて 小さくなってしまっていた。

 申し訳ない気持ちでいっぱいになった。一緒に悲しむべきだった、と後悔した。でも とても大輝の部屋まで行くことはできない。
 行けば 大輝がいなくなったことを また認めなくてはいけなくなる。
 悲しみは まだそれほど形を変えていなかった。

 「ゆうちゃん?」
 
 空耳かと思った。
 振り返ると 陽輝が立っていた。
 眼鏡をかけて 知らない人のような陽輝。
 ちっとも嬉しくなかった。苦しくて 顔を上げることもできない。

 沢山の時間をかけて 陽輝への想いを封じ込めた。無理だとわかると それを音に変えていくことを試みた。多くの時間と 多くの努力が必要だった。

 絶望を音にした。喜びも音にした。叫び、呻き、胸が震えたあの時間を音楽で 繰り返し 何度も味わった。
 それが 憧れへの切符になった。


 それなのに 名前を呼ばれただけで 時間が消え去る。
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