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Memory of Night 2
第7章 緊縛イベント

 その心配は杞憂だったようで、いつの間にか晃がベッドを抜け出したり、逆に後ろから抱きしめたりしても起きなくなった。そこに晃はほっとしていた。

(ま、学校にバイトに俺の相手に、疲れてるだけかもしれないけど)

 優しくだけしたいとも思う。だけどどうしても、行為が進むと理性が負けてしまうのだった。
 晃は宵の枕元にミネラルウォーターを置いて、下着とスウェットも隣に置いて汚れたシーツを片付けた。本当なら自分も隣に潜り込んで寝たいところだが、まだやらなければいけないことがあるのだ。

「おやすみ」

 毛布と布団をしっかりかけ直してやってから寝室を出る。
 軽くシャワーを浴び直し、晃は参考書を開いた。予備校のものだ。
 目指す医大はレベルも高く、真剣に勉強しないと受からない。まずは高校三年の範囲を終わらせるところからだ。
 晃は時計に目をやった。ちょうど午前0時をまわった頃だ。まだまだ時間はある。
 不意に予備校用のバッグから、赤本と呼ばれる大学入試の過去問題集を手に取った。

「……宵にいつ話そう」

 進路の話をかしこまってしたことはない。
 晃は赤本をしばらく見つめ、参考書の隣に置いた。
 宵に出逢う前から、決めていた進路だ。もちろん変えるつもりはなかった。
 ーー赤本に大きく書かれた大学名。それはこことはだいぶ離れた、県外の大学だった。
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