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Memory of Night 2
第8章 蛍の思い出

栗色の髪の女性の、ふわっとした雰囲気を思い出す。なんとなく、彼女ならドレッシングで味付けするような洒落た卵焼きを作りそうな気もする。
だが宵は首を振った。
「志穂さん、料理はあんま。レンチンするもんばっかだったし、一緒に住み始めて一年経ったくらいの頃からは俺がほとんど作ってたよ。あっち働いてたし」
「そっか、そうだよな。ごめん」
仕事を掛け持ちして生活費や宵の学校の費用を稼いでいたと聞いていた。もともと体が弱いのもあり、過労で倒れてしまったことも。
自炊する余裕もなかったろう。
こんな質問事態が無神経だったかと思ったが、宵は特に気に止めていない様子で誰に教わったレシピなのかを教えてくれた。
「その卵焼きはーー親父がよく作ってたんだよ」
「……え? お父さん?」
宵の両親は、宵が十歳の頃に交通事故で亡くなっている。そこまでは聞いていたが、二人の人物像を聞いたことはなかった。
そのせいか、唐突なその単語に酷く驚いている自分がいた。
だがその話題を広げる前に、唐突に宵が不機嫌そうな声をあげる。
「つか志穂さんで思い出したけど、何勝手に教えてんだよ、三者面談の曜日と時間。いつの間にか番号まで……」
「ああ、ちゃんと間に合った?」
「全然間に合ってねーよ! でも少し話はできたよ、先生とも」
「なら良かった」
「良くねーっつの」

