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Memory of Night 2
第8章 蛍の思い出

宵が腕を組む。
晃は苦笑いを返した。
志穂のメールアドレスも電話番号も確かに知っていたが、それは志穂から連絡先の交換をしてほしいと頼まれたからだった。
もちろん、やましい目的ではない。
ーーごめんね。晃くんに頼むことでもないかもしれないんだけど、学校行事があったら教えてほしいの。宵ってば全然教えてくれないから。
最初にそう言って、彼女がメールアドレスを書いた紙を渡してくれたのはいつだったか。結婚して弘行の家に越してすぐの頃だったように思う。宵が一人で住むことになったアパートで、たまたま鉢合わせた時だ。そして、同居を始める前にお互いの親に挨拶に行ったのだが、その時に番号を渡された。
『晃くんが一緒に住んでくれるなら、安心! 宵をよろしくお願いします!』
そんなメモと共に。
(ついつい無理させちゃってるけど)
せっかく信頼してくれている志穂に対しちょっとだけ心が痛むが、そこはあえて気にしないことにした。
「なんで三者面談があること志穂さんに黙ってたの?」
「…………」
宵は無言。灰色の瞳を晃から逸らしただけだった。
「心配だし、気になるんだと思うよ、学校生活とか君のバイトのこととか」
「……誤魔化してばっかで、なんかやだったんだよ」
宵は言葉を探すような間を空けてから、ようやくそれだけ口にする。
晃はああ、と頷いた。

