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Memory of Night 2
第10章 嫉妬
「宵から? あの子があんたみたいな女に興味を持つわけないでしょう?」
「おまえとは違う?」
春加は首をかしげ、挑発するように晃を見上げた。
「おまえは中学の時からうちみたいな店来てたもんな。うちの客とも、一緒につるんでたやつらともヤッてたんだろ? ……宵とも遊び?」
傘が地面に落ち、鈍い音を立てる。
衝動が抑えられなかった。気付いた時には助手席に上半身を潜り込ませ、春加のジャケットを鷲掴みにして自分の方へと引き寄せていた。
女性にこんなふうに乱暴を働いたのは初めてだ。頭の奥の方で、ほんのわずかに残っていた冷静な部分がそんなことを思う。
「……どうでもいい。あんたの話なんかどうでもいいんだよ」
腹の中、煮えたぎるような怒りを感じる。晃は一度目を閉じ、軽く息を吐き出した。
それでも自分でも驚くくらいの低い声が口から出ていく。
「今まで女性に手をあげたことなんて無かったけど、もし宵を傷つけるような真似したら、容赦しないよ」
決して脅しのつもりで口にしてはいなかった。
「……いい目だね、飼い慣らしたくなる」
春加は晃の手を強引に離させ体勢を直した。ハンドルを握り直す。