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Memory of Night 2
第3章 甘い遊戯
「今日は和にしてみた」
その言葉通り、テーブルには白飯と大根の味噌汁、焼き鮭が並べられていた。食欲をかきたてるようないい匂いがする。
「いただきます」
鮭を一口食べると、塩加減もちょうどよかった。
「おいしい?」
「うん」
笑顔で問われ、宵は素直に頷いた。
志穗(しほ)が弘行(ひろゆき)と結婚し、もともと宵と志穗二人で住んでいたアパートには、いつの間にか晃が転がりこむようになっていた。遊びにくるついでのように服や生活用品などの私物を増やされ、気づいたらすっかり二人の家が出来上がっていた。
毎日のように寝泊まりしていく晃に、一度尋ねたことがある。
「そんなしょっちゅうこっちに寝てて、親なんも言わねーの?」
「言わないよ。どうせ家にいても一人だし、住む場所がどこだろうが成績落とさなければ大丈夫。基本放任されてるからね」
晃の両親は二人とも医療従事者だ。業務時間も決まっていないし夜勤や急な出勤も多い。
小さい頃から晃は家に一人にされることが多かった。そんな家庭環境についても宵は聞いていた。改めて晃自身の口から言わせてしまったことに、少し心が痛んだ。