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Memory of Night 2
第10章 嫉妬
「普通見えるとこになんてつけねーだろ、この非常識」
「……今度プールでも行く? それか銭湯」
「わざと脱ぐとこ行って見せびらかそうとすんな変態、露出狂……っ」
宵は晃の上から降りて、ソファに腰をおろした。
片足をあげ、晃に命じてくる。
「腹へった。なんか作って」
「車酔いは治ったみたいだね。良かった」
晃も起き上がり、宵の唇にキスをする。
「さっき吐いたばっかなのに」
「口すすいでたし大丈夫でしょ? ーー宵、大好きだよ」
そのままぎゅっと細い体を抱きしめる。
「俺も」
耳元で囁かれ、晃の心に幸せな気持ちが満ちていく。
「前から気になってたんだけど、宵ってもしかして俺が初恋?」
「……なんだよ急に」
「今まで人を好きになったこと、ある?」
宵は考え込むような顔つきで、しばらく首をかしげていた。
「……すぐ思い出せない時点で多分ないんだよ」
晃の口元からは、つい苦笑が漏れる。
宵の初めては幾つか奪っているが、その初めてはかなり嬉しいかもしれない、と気付いたからだ。
ーー今までの宵の気持ちもまるごと独占しているようで。
「もう、いいから飯」
「はいはい」
照れ隠し半分空腹も半分な宵に促され、晃はソファから立ち上がり、キッチンに向かうのだった。