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Memory of Night 2
第10章 嫉妬

それは初耳だった。いったいなんの? と思う。
「志穂さんの手術の時借りただろ? 結局そのままだし」
「あれって、そのあと君が抱かれにきてチャラになったんじゃないの?」
もともと晃からしたら、返してもらう気はなかった。知らぬ間に増えていった口座の中の冷たい数字。それで宵の大切な人が救えるなら、渡してしまっても何も惜しくない。
だが、宵は激しく首を振った。
「おかしいだろーが、そのあとすぐ付き合ったのに、おまえはまだ俺のこと、金で買ってる感覚なのかよ? ふざけんな。ーー金は返すよ絶対。だからあそこのバイトも辞めない」
「ーーわかったよ」
意固地になって時給の高い今のバイトにこだわる理由も、ようやく納得できた。
返さなくていいと拒否しても、絶対に返してくるんだろうなと思う。
「本当に律儀だよな、宵って」
チャラでいいと言っているのだから、甘えてしまえばいいのに。
「でもそういうとこも好きだよ」
晃は笑った。
「それはそれとして、まさか君に押し倒される日が来るとは。続きはー? 襲ってくれないの?」
「……なんかやだ」
「キスマークたくさん嬉しいけど、全部服来たら隠れちゃう場所じゃん」

