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Memory of Night 2
第11章 懐かしい記憶

こんこん、と部屋のドアをノックする音が聞こえた。
二人はびくっとして、慌ててお互いの体を離した。
「ーー晃? 帰ってるの?」
晃の母親らしい。
「さっき帰ってきたとこ」
晃は乱れた格好を隠すように、ベッドの上の毛布を宵の頭にばさりとかけた。
すぐさまドアに近付いていく。
「開けていい?」
晃は中にいる宵があまり見えないよう、ドアの直前に立ち、開けた。
「ーーただいま、母さん」
「もう、来るなら先に連絡くれればいいのに」
「どうせ仕事かなって思って」
「今日は仕事休み。買い物よ、買い物」
嬉しそうな声だった。そりゃ、家を出ていた息子が久しぶりに帰ってくれば嬉しいものか、と思う。
宵は服を整えながらかぶせられた毛布を取った。この毛布は、直前までキスをしていた痕跡を隠すよう、とっさに投げてくれたのだろう。
毛布から顔を出すと、晃の母親とばっちり目が合ってしまった。
「あら!」
「……お邪魔してます」
晃の母はにっこりと笑った。
「宵くんも来てたのね。いつも晃がお世話になってます」
「逆ですよ。いつも俺の方が世話焼いてもらってます」
「家事ほとんど俺だしね」
儀礼的な挨拶に本音を返すと、晃の母は声を出して笑った。

