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Memory of Night 2
第14章 夏休みに向けて

その日の夜。宣言通り鋤きハサミを買って帰ると、すでに晃は廊下に新聞紙を引き椅子を用意し待っていた。
「あ、おかえり」
「ただいま。……って準備早っ」
「頑張って心の準備したんだよ。もう今の君を見れなくなると思うと、それこそ断腸(だんちょう)の思いで……」
「……だから髪切るだけだろ。心中でもするみてーな言い方やめろ、怖いから」
玄関からなかなか進まない宵に、晃は笑った。
「嘘だよ、髪切るならご飯の前の方がいいかなと思って」
それは確かに、と思う。
早速宵は制服から部屋着に着替え、用意された椅子に腰を下ろした。前回も同じ場所で同じようにして切ってもらったのを思い出す。
バスタオルを首もとに巻かれ、晃は買ってきたハサミを手に取った。
何度か閉じたり開いたりを繰り返して使い心地を確かめている。
「どう? それでいい?」
「うん、大丈夫。使いやすそうなハサミだね」
晃はしばらく宵の髪に触れ、もったいなさげに眺めていたが、やがて観念したようにハサミを入れ始めた。
「長さは?」
「とにかくなるべく短めに」
「…………おっけ」
不服そうな間があったが、無視した。シャキ、シャキと小気味のいい音が響く。

