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Memory of Night 2
第18章 人魚姫

打つ手がないことに絶望したのか、大山はそのまま海の中へと入ってしまう。
宵はとっさに手を伸ばしたが、友人の服を掠めただけ。
「だからおまえ泳げねーだろっ」
昼間明に教わって、ようやく立ち泳ぎが少しできるようになったくらいなのに、こんな海に飛び込むなんて死にに行くようなものだ。
「大山ー……っ!」
明の金切り声。
「あか……ぐっ」
離岸流という海流のせいか、大山の体はあっという間に明のそばに運ばれていった。
だがたどりつく前に、波が大山を飲み込む。
「大山!」
宵と明が友人の名を叫ぶ。
どうにか海面に浮上したのもつかの間、さらに波が襲い大山の姿は一瞬にして見えなくなってしまった。
とっさに宵は岩場に大山が置き捨てた懐中電灯を掴み海に飛び込もうとしたが、一瞬早く明が海の中へと潜ったのを視界の端でとらえた。
宵も海へと潜る。体が沖にいっきに運ばれる感覚があった。浮き輪にたどり着き、辺りを照らす。
「大山ー! 明ー!」
声の限り叫ぶが、応答はない。二人が浮上した様子もなく、宵は大きく息を吸い込み海の中へと潜った。
(くそ、なんも見えねー)
まさに、一寸先は闇だ。昼間の美しかった景色が幻ででもあったかのように、暗闇だけが広がっている。
この状況で探せるか?
そう思った瞬間、青い微かな光が見えた。ゆっくりと下から上がってくる。

