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Memory of Night 2
第18章 人魚姫

「……?」
目前にできた陰に、明が顔をあげる。泣き顔がいたいたしかった。
大山は明の腕を引き寄せ、華奢な体をきつく抱きしめていた。
「……う、え?」
込み上げる感情は大きすぎて、一つも言葉にならなかった。
無事だったことへの安堵。何もできないどころか逆に助けられてしまったことへの不甲斐なさ。もしかしたら失ってしまっていたかもしれないという恐怖。いたいたしい泣き顔。ーーいとおしさ。
ないまぜになった感情が溢れ出し、嗚咽と涙になってさらに情けないことになっていた。
「お、おおや……」
「……無事で良かった。ーー生きてて良かった」
掠れた鼻声で呟いた。
全身から伝わる体温が、大山を心の底から安堵させる。
明は最初戸惑ったように視線をさ迷わせていたが、やがておそるおそるといった様子で大山の背を抱きしめ返した。
「……ありがとう」
大山の嗚咽が静かな岩場にいつまでも響いていた。
友人の行動に最初は驚いたが、予想していたよりも何倍も、明への恋愛感情が大きかったことにも宵は驚いていた。
大山がさらけ出した感情は、明本人にもしっかりと伝わっているはずだ。
他人の気持ちは第三者がどうこうできるものではないけれど、大山の恋が成就してほしい。宵は心の底からそう思っていた。

