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Memory of Night 2
第19章 夏の思い出
「……ひでー言い草。悪かったな、顔しか好かれるものが無くて」
「嘘だって」
晃はおかしそうに笑った。
そうして再びコンビニに向かい歩き出す。
昨日明から聞いた記憶が正しければ、あと五分ほどで着くはずだ。
「お祝いにケーキでも買う?」
「君甘いの食べられないじゃん。こういう時は赤飯じゃない?」
「さすがに売ってねーだろ、いくらコンビニだからってこんな遅くに」
「じゃあ、お菓子とシャンメリー」
「なんでもいっか」
お祝い事は気持ちが大事だ。
宵は頭の後ろで腕を組み、つい一昨日の大山の話を思い出していた。
「……好きって相談されてから、付き合うまで早かったな」
「ま、人を好きになるのに期間て関係ないんじゃない?」
晃は微かに笑って、宵を見つめる。
「ーー恋って、好きだって自覚しちゃったらいっきに転がり落ちて行くもんなんだなって、君を好きになって初めて知った」
「……なんだよ、それ」
宵は慌てて晃から視線を外した。唐突に甘く見つめられてそんなセリフを言われたら、心臓がまたうるさくなってしまう。
ふいに唇に晃のそれが触れる。
「外っ」
「だって、明ちゃんたちが居たんじゃイチャイチャできないし。大丈夫、誰もいないよ」
「そうだけど……」
宵の言葉を遮る様に、さらに深く唇を合わせてくる晃。
クラクラしそうだった。
地元とは違う場所で、潮風の匂いに包まれてするキスは新鮮で、いつになく二人の気持ちを高揚させたーー。