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Memory of Night 2
第22章 交渉

また、ウイスキーを一口飲む。
何かを思案するように、グラスの中の琥珀色の液体を見つめていたが。
「ーーじゃあさ」
唐突にこう提案する。
「二泊三日で宵を貸してくれたら、教えてやるよ。あいつに声をかけた理由」
「……理由? それは、バイトに誘った理由ですか?」
「そ。ずっと聞かれんだよね。気になるもんかね、そんなの」
「特別な理由があるんですか?」
今度は間はなかった。間髪入れずに春加は頷く。
「あるよ」
わずかに口角をあげ、笑った。化粧を落としているからか、春加の表情の変化がよくわかった。
真っ黒なアイラインも、真っ赤な口紅も、塗装の何もない素顔は思いの外柔らかく、無害に見えた。
「あいつじゃなきゃ、誘わなかった」
ウイスキーをまた一口。
「大丈夫、バイトの子達みんな連れてくつもりだから。忘年会、いや、新年会になるかな。そんなんも兼ねて、のな」
にっこりと、晃に向かって微笑みかける。
晃は腕を組み、長い時間考えていたが、やがて深いため息と共に晃は言った。
「……二泊三日ですね。わかりました、許可します。その代わり、約束は守ってくださいね」
「サンキュー! もちもち。ちゃんと連絡もするよ」
「……あんたからはいいよ。宵にさせて」
「はいはい。ーーじゃあまあ、詳細を」
そう言って、春加はポスターに関しての詳しい説明を始めた。

