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Memory of Night 2
第22章 交渉

「ーーえ? ……正気?」
それからすぐに宵は風呂から戻ってきた。部屋を出ていってから二〇分弱だ。
宵にしては長風呂な方だった。戻ってくるのが嫌で、わざとそうしたのかもしれない。
二泊三日のポスター撮影を許可したことを告げると、宵は大きく目を見開き、鳩が豆鉄砲を食らった時のような顔をした。
「正気ですとも。行ってきな。せっかくなら楽しんでおいで」
「…………酒でも飲まされた?」
「一滴も飲んでないって。飲むわけないでしょ」
晃は失笑した。そんなに意外な結果だったのかと思う。
「いろいろ、聞いた?」
「いや、詳細はまだ話し始めたところ。これからちゃんと聞くよ」
「じゃ、なんの話してたんだよ?」
「何って?」
「詳しいことまだほとんど聞いてないんだろ? ならなんで……」
「ーー君を信用してるから」
目を見開く宵の頭を、ぽんぽんと叩く。
後ろで春加がわずかに肩を揺らして笑っていた。
理由はとてもシンプルだった。
恋人を信用してないの?
春加のその言葉に揺すぶられてしまった。
「んじゃ、決まりだな。宵、ポスター作りよろしく。ちょっとトイレ貸して。飲みすぎてお腹タプタプー」
「玄関入ってすぐ右」

