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Memory of Night 2
第23章 墓参り

「なんでわざわざ明に伝言? 自分でかけてくればいいのに」
「それがね、倉木先生急性胃腸炎で入院しちゃったみたいなんだよね。昨日あたしのとこに電話があって、問題集配ったり、まあちょっといくつか雑用頼まれてて」
夏期講習は三年のクラスを受け持つ担任や副担人が順番に講習をするようだが、急な入院で何も引き継げなかったから、学級委員の明に連絡したのだろう。
明ならクラスをまとめあげるのも勉強を教えるのも上手だから、適任とは思うが。
「……あたし、大学行かないから、そもそもこの夏期講習参加する気なかったんだけどね。倉木先生の声があまりにしんどそうだったからさ。予定の無い日ならってことで引き受けちゃった」
「……お人好しだなー」
「だって、入院て結構大変な事態じゃない? どうしたんだろ。食あたりかな」
「まあ、電話できるなら大丈夫なんじゃね? なんか落ちてるもん拾い食いでもしたんだろ」
「いやいや、そんな犬みたいなことしないでしょ!」
明は爆笑した。
「明、進学しないんだ。頭いーのに」
明も晃のように、かなりの秀才だった。学年では常に上位にいる。
だから当然のように、大学に進学すると思っていた。

