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Memory of Night 2
第23章 墓参り

その週の日曜日。一日晴れるということで、陽が高くなる前の午前中に墓参りに行くことにした。最寄り駅まで歩き、電車で揺られること二十分。一度乗り換え、さらに電車に十五分乗りたどり着いた無人駅。
改札をくぐると、まばゆいばかりの緑が視界を覆う。山のふもとの、なかなかに田舎な場所だった。
さらに緩やかな上り坂を十分ほど歩いた場所に、両親の墓がある。
宵は途中の小さな店で花と線香を買った。
「ずいぶん家から離れてるんだね、お墓」
「うん、親父の実家が建てた墓なんだけど、家こっちだから。地味に遠いんだよなあ」
「確かに。駅まで歩かないと行けなかったり、乗り継ぎでちょっと待ったりすると片道一時間くらいかかるもんね。……毎年来てるんだ」
「まあ、一応。夏に一回、掃除してお参りするくらいだけどな。ーーあそこの坂をちょっと上がったとこ」
だいぶ山道だが、今までの道は一応アスファルトだった。けれど最後は塗装されていない獣道だ。
「コケも生えてるから、滑って転ぶなよ」
「うん、ありがとう。気をつける」
「あとなんかたまに蛇とか変な動物も出るっぽい」
「……変な動物がなんなのかが気になるけど。なかなかの山の中だね」

