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Memory of Night 2
第24章 姫橋祭

眉間に皺を寄せ、あからさまに嫌そうな視線を向けられ晃は笑った。
「宵、甘い食べ物全般嫌いだもんね。そうだね、花火が始まる前に何か食べようか」
晃の提案に、宵も頷いた。
屋台はいろいろな店が出ている。何を買うか迷ったが、腹に溜まりそうという理由で焼きそばとお好み焼きを二つずつ買った。
袋を受け取り、歩き出そうとした瞬間だった。
ちりんちりんちりん! と勢いよくベルが鳴り、驚いて振り向いた。
二つ隣に射的の屋台があり、どうやらベルはそこかららしい。
「おめでとうございますううう! 一等が出ましたああああ!」
「え、え、嘘、ええええ!?」
「おお、やったじゃないかあ、明!」
なんとなく聞き覚えがある声たちと、名前。
「ーーえ?」
「あかり?」
宵と晃は顔を見合わせ、ベルが鳴った場所を覗いた。一等が出たからか、なんだなんだと客が集まり人だかりができていた。
その中心には予想した通り、見知った同級生の顔。最新のゲーム機を抱えた浴衣姿の菊池明(きくちあかり)と、甚平姿の大山和仁(おおやまかずひと)の姿があった。
二人もすぐに宵と晃に気付き、射的の男性に丁寧に頭を下げ、駆け寄ってくるのだった。

