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Memory of Night 2
第26章 承諾書

三週間くらい見かけなくなってようやく、そういえば最近居ないな、と微かに脳裏をよぎったくらいだった。毎日のように絡まれていたのが止み、せいせいしていたのが本音だが、さすがにそこまでは言えない。
「……寂しかったかい?」
熱い眼差しに、さてどう答えたらいいものかと悩む。
「……そりゃ、あれだけ頻繁に店に来ていたのに、全く見かけなくなったらどうしたんだろ、くらいは思いますよ。あとここ、お触り禁止なんで」
やや強引に握られた両手を抜く。
「ああ、す、すまない、つい嬉しくて」
土方はソファに座り直し、上機嫌な様子で先ほどの質問に答えた。
「仕事というほどではなかったがね。持っているビルの一部をお付き合いのある企業に貸すことになってね。その相談や手続きで、しばらくバタバタしていたんだ」
「……そうなんですね」
「もう君に寂しい思いはさせない、毎日会いにくるよ」
「……そんなに無理しなくていいですよ」
むしろ来なくていい。その方が楽なのだ。
「そうだね、年末は泊まりで僕の別宅に来てくれるしね。今からとても楽しみだよ」
「…………」
そうであった。ポスター撮影のための宿泊場所は、土方の別宅。二泊三日の宿泊は晃も来るし、こんな調子で口説かれても困る。

