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Memory of Night 2
第27章 コンセプト

先に疑問を投げかけたのは晃だった。
「おい、女装はやだって言っただろ?」
宵も便乗し、異議を申し立てる。女装は嫌だと、この話題が出た最初に伝えていたはずだ。
「違うって。雪『女』じゃなくて、雪の『化け物』。そもそも妖怪に性別なんてないじゃん」
「はあ? そんなん言い回しの問題だろっ」
宵は食い下がるが、春加も負けじと言い返す。
「だったらネッシーにオスメスあんのか? ツチノコは? 宇宙人は? かっぱは? あ?」
「……っ!」
そもそもかっぱ以外妖怪ではないのだが、立て続けに未確認生物を列挙され、反論できなかった。
「ほら見ろ、性別の概念なんか無いだろ、みんな。細かいとこは気にすんな」
「……細かくねーって、全然」
「ごちゃごちゃうるさい。おまえが不本意なのはわかってるけど、店のためなんだよ。だから報酬もなるべく高くしたし、こうやって頭下げてお願いしてるんだろ」
「…………」
『お願い』なんてしているだろうか、と宵は疑問に感じていた。頭も下げられた記憶がない。
今だって、ソファーでふんぞり返り、腕と足を組んだまま高圧的な態度でまくし立ててきているのだ。
(くそ……)

