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Memory of Night 2
第27章 コンセプト

言い返してやりたいのに、彼女を論破できる案がない。
酒が入っているせいか、春加の口調もやや荒かった。すでに深夜だ。ヒートアップしてわーわー騒がれても困るので、結局宵は折れるしかないのであった。
「あーもーわかったよ、雪の化け物ね、はいはい」
もうどうにでもなれ、という気分で提案を飲んだ。
「晃は?」
春加の視線が、正面へと向く。
承諾書に目を落としたままだった晃は、問われて顔をあげた。
「宵がいいなら、俺からは別に」
「はい、決まり」
春加が再び手を叩く。
「でも一つだけ、俺も『お願い』がある」
「……お願い?」
「宵の着替えと緊縛は俺がやる。土方さん、だっけ? その人には触らせない」
宵への独占欲を隠そうともしない晃の発言に、その場にいた誰もが一瞬黙った。
いち早く反応したのは春加だった。
「それはできない」
きっぱりと拒否し、首を横に振る。
「なんで? 承諾書に一通り目を通させてもらったけど、衣装や小道具を扱う人を指定する文はなかったと思うけど。誰が宵に衣装を着せようと、緊縛をしようと構わないはず」
「衣装は和装だぞ?」
「俺の母親和装好きでよくするんだよ。浴衣や着物なんかも。何度か着付け手伝ってたから、できるよ」

