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Memory of Night 2
第31章 来訪者

また、少し間があったような気がする。
志穂の様子は少し変に感じた。平日連絡なしに、志穂が一人で来ることはよくあった。いただきものの野菜や果物のお裾分け、惣菜の差し入れ、単純に様子を見に、など、理由は様々。留守であれば部屋のドアに引っかけていってくれる。
平日は志穂一人でよくフラットに来るが、土日は弘行も一緒なことが多い。
土日に一人で、しかもこんな急なのも珍しい。
「もしかして、用事あった?」
「いや、夜はバイトだけど、昼はなんもねーからいつでも来ていーよ。ーー俺もとりあえず進路どうするか決まったから、報告するよ」
「あ、本当に?」
わかりやすいくらい、電話越しの志穂の声のトーンは上がった。
「良かったねー、もうすぐ卒業だもんね。一安心ね」
「一応大学行くから、勉強しねーとだけど。それも明日話すよ」
「わかった! 時間は十時頃でいい?」
「はいよー十時ね。……寝てたら起こして。じゃ、また」
「はーい、またね」
そうして通話を切った。
「ーー明日、志穂さん来るの?」
ヘッドフォンをしながら勉強していた晃が、振り向く。最近はリラックスできるジャズを聴きながらの勉強しているらしいが、目の前で話していたので聞こえてしまっていたらしい。

