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Memory of Night 2
第31章 来訪者

「あ、電話の声うるさかった? ごめん、勉強の邪魔しちまったみたいで」
「そんなのは全然大丈夫だけどさ。ところどころ聴こえただけだし。志穂さん、明日の何時に来るの?」
「あー、十時頃だって」
「なら久しぶりに、俺も実家帰ろうかな。模試の結果見せろって、母親がうるさいんだよね。ずっとA判定だよ、とは伝えてるんだけどね」
「……ほんとに、なんかもうレベルが違いすぎて嫉妬もなんも湧かねー」
最近の晃はひたすら勉強していた。途切れることのない集中力は、どんな修行を積めば得られるのか。
宵は一人で家にいても、二時間続けばいい方だった。
「ごめん、なんか話あるみたいだから、終わったら連絡する。俺も進路のこととかちゃんと話すよ」
「そうだね、てかまだ話してなかったんだ。俺のことは気にしなくていいから、ゆっくりしてってもらいな。久しぶりに志穂さんと水入らずで会うんでしょ?」
「……うん」
話の中身が気にはなるが明日になればわかることだ。
宵は勉強道具を広げた。志穂から電話が来たのは、ちょうど一休みして、だらけそうになっていたタイミングだった。
「俺ももうちょっと勉強する」
二人は向かいに座ったまま、それぞれ問題集に取りかかり始めるのだった。

