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Memory of Night 2
第31章 来訪者

代替え品として、ノンカフェインを宵が買ってきたのだった。
晃は甘党なので紅茶には砂糖やミルクをいつも入れていたので、砂糖とミルクなしで飲めば苦味で多少は目が覚めるはずだ。
気に入ってくれたのか、最近ではいつも眠気覚ましにカフェインレスの紅茶を愛飲していた。
この前買い足したばかりだから、味も何種類かあった。
「じゃあ、いただこうかな」
「どれがいい?」
宵は収納してあった棚から箱ごと全種類とって、志穂の前に並べた。
「こんなに種類あるの?」
驚いたように志穂はつぶやき、嬉しそうに笑う。志穂は昔から、紅茶が好きだった。二人で住んでいた頃は、家にいつも置いてあったような気がする。
五種類のノンカフェイン紅茶を眺め、しばらく真剣な顔で悩んでいた。そっと箱を三つどかし、アップルティーとダージリンが残る。さらに悩み、迷いに迷ってようやく選んだのはダージリンだった。
パッケージの表側で味を確認したあと、志穂はそっと裏面を見た。その仕草で、宵がもしかしたらと思っていたことが確信に変わる。
「宵はー?」
「俺も同じのでいーよ。淹れてくるから、テレビでも観てろよ」
「うん、ありがとう」
リモコンを渡し、宵は紅茶を淹れに席を立った。

