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Memory of Night 2
第32章 雪

「細菌交換、する?」
「……なんだその気色悪い誘い方」
「じゃあ言い直して、ディープキス」
もう一度口付けられ、今度は舌を入れられる。
「……外だっつの」
「誰もいないし、平気だよ」
宵の手を握りしめ、晃はにっこりと笑った。
「俺は宵のこと、汚いとは思わない。とてもいとおしいと思う」
思いの外真剣なトーンだった。真夜中の冷気の中、間近で聞こえる晃の息遣いに心臓が早鐘を打った。
「なんだよそれ。質問に対しての答えじゃねーじゃん」
口ではそう返したが、宵も同じような感覚だった。
誰とセックスをしても、汚いとは思わなかった。その場だけで終わる。汚れた体は洗えばすむ話だ。
だが、晃とのそれは違う。感覚を当てはめてみると、それはやはりいとおしさかもしれない。
「……宵とキスしてると、なんかムラムラしてくる。帰って、する?」
「明日平日。学校とバイト」
「じゃあ少しだけ」
手を繋いだまま歩き出す晃。宵も隣を歩いた。
白い雪はいつの間にか、みぞれに変わっていた。
きっと明日にはうっすら積もった雪も溶けてしまうだろう。
そんなことを考えながら、二人はアパートに戻るべく歩を進めていった。

