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Memory of Night 2
第32章 雪

「やっぱ好きなんだ」
「……そんな綺麗な感情じゃないよ。おまえと晃みたいな、純粋な関係でもない」
「……純粋、ねー」
二人を乗せた車が宵のアパートに到着した。
宵はシートベルトに手をかけるも、なかなか外そうとしない。
「ん? どうかしたか?」
「いや……」
宵は迷っているような素振りを見せたが、やがてぽつりと言った。
「やっぱなんか、もやっとするんだよ。このあと店戻る?」
「いや、暇だしもう帰る」
「なら、ドライブ連れてって、山道以外で」
「…………は?」
今度こそ、春加は驚きに目を見開いた。前回無理矢理付き合わせたドライブが嫌で晃からチャリまで借りてきたはずなのに、逆に宵の方からドライブに誘われるとは。
意図がわからず、気味が悪いくらいだ。
「晃と喧嘩でもした?」
「してない」
「……じゃあなんかの罰ゲームか?」
「違うって。いいから早く、出発して」
「そんなこと言われたって。どこ行くんだよ」
「山道以外ならどこでもいーって」
「時速何キロご希望?」
「……その質問はおかしいだろ。法定速度で走れ」
冗談ではないらしく、宵は車から降りようとしない。
帰って早くビールを飲みたい気分だったが、まあまだ時間は早い。仕方なく、春加は再び車を走らせ道路へと出ていくのだった。

