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Memory of Night 2
第32章 雪

「もう気が済んだか? あんま遅いと晃が騒ぐだろ、帰るぞ」
「あー、さっきメールしといた。またドライブに連れ回されたから遅くなるって」
「……おい、今日は誘ったのおまえだろ。ふざけんなよ。またこっちが悪者にされんじゃん」
「え、知らね。俺から誘った証拠ねーじゃん」
「はあっ?」
こっちは帰って早く酒が飲みたいところを付き合ってやったのに、なんて勝手な言い草なのか。
思わずハンドルを叩きそうになる春加に、宵は噴き出した。しばらく肩を揺らして笑っていた。
「嘘だって。普通に言うよ、俺からだって」
そうして笑うのをやめた。
「……最後のは間違ってる。ーー金で寝たこと、あるよ。つか、晃と付き合う前は、金でしか寝たことなかった」
「ーーえ?」
春加は驚いて宵を見る。
だが宵は窓の外のイルミネーションを眺めていて、表情はわからなかった。
「バイト始めた頃言わなかったっけ? 一年前なら喜んでショーに出たって」
初めてショーに出てみないかと誘った時だろうか。なんとなく覚えていた。そんなことを言っていたような気がする。
「あの頃は短期間で大金が欲しかったから、多分過激なショーでも出てた」
宵は昔を思い出すように、わずかに目を細めた。

