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Memory of Night 2
第32章 雪

昔、店に来ていた晃は、もっと違う印象だった。人と話すときは機械的で隙のない笑顔を見せるくせに、一人になると急につまらなそうな表情をする。店を出る時は、毎回違う女が隣にいた。
自分を取り繕うのがあまりに上手く、器用な子だったから、たった数回店に来ただけなのに覚えていたのだ。遊び慣れているんだろうと思った。
けれど久しぶりに会った晃は、昔と違っていた。若すぎる年齢にも驚いたが、それ以上に、恋人に夢中すぎて記憶を塗り替えられたのかと思ったほどだ。
束縛し、ラブホという軽い冗談を真に受けて怒ったり、痕が残るほどのプレイを楽しんでいたりする。
見せかけじゃなく、恋人を大切に思っているのが晃のいろんな言動や行動から伝わってくるのだ。
「……どうせおまえだって、桃華と一緒なんだろう? 恋人との幸せなセックスしか知らない。金で寝たことも、一夜限りのセックスもしたことないだろ?」
年齢を考えれば当たり前なのかもしれない。顔は良くても、不特定多数と性的な遊びをするタイプには見えなかった。一緒に働いていればなんとなくわかる。
宵は何も答えなかった。
春加はハザードを切り、車を発進させた。

