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Memory of Night 2
第34章 衣装合わせ

「ここ、持ってて」
「ん」
合わせた端の部分を渡され、胸の前で交差させたままキープしていると、晃は手早く腰紐を結んだ。余った紐を中にしまいこみ、ウエスト部分の布が二重になった場所を、丁寧に整えてくれる。
「本当、慣れてんね」
「母親によく手伝わされたからな。あと、最近もちょっと練習したし」
「いつの間に。それも母親?」
「当たり前だろ? 他の女性相手にするわけないだろ?」
「そういう意味じゃねーけど、おまえ真面目だからマネキンとか買って練習してそう」
「あー、思いつかなかった」
思いつけばそうしたのかと思うと、やっぱ真面目か、と突っ込みたくなってしまう。
去年の夏も着せられたが、確かにその時よりもさらに手際が良くなっているような気がした。
あっという間に伊達締めまで終わり、あとは帯だけというところで、不意に部屋のドアが開いた。
現れたのは春加だった。春加は部屋に入るなり、首をかしげる。
「…………なんで二人だけ?」
「被写体が着替え中なので」
晃が答えると、ふん、と鼻で笑われた。
「そいつは売れっ子モデルか何かか」
宵を顎で示し、それから二人のそばに歩み寄り、全身へと視線を注ぐ。足元からゆっくりと上へ。
「……綺麗に着せれてんね」

