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Memory of Night 2
第34章 衣装合わせ

伊達締めは、手順で言えば帯の一つ前らしい。襟元と、おはしょりと呼ばれるウエスト部分の重なった布が、ずれないように停める役割をするのだと、先ほど晃が説明してくれた。
つまり、今の段階でほぼ着付けは終わっているのだ。
「明日も俺がやっていいですか? 宵の着付け」
「いいんじゃない? 最終的にはアメリア先生の判断だけど、そんだけ綺麗に着せれるなら、多分平気だよ」
宵と晃はほっと胸を撫で下ろした。
春加はしばらく、宵から目線を外さなかった。白い無地の浴衣を、じっと眺めている。どことなく虚ろな眼差しのまま、ぽつりと呟いた。
「ーーまるで死装束みたいだな」
春加はすぐにはっとしたような顔で、頭(かぶり)を振った。
「……悪い、縁起悪いよな」
たちの悪い冗談のつもりでも無く、無意識に滑り落ちてしまったものらしい。春加自身が、どこか驚いたような顔をしていた。
ほとんど同時に、ドアを叩くノックが響く。
「デキタ、カーイ?」
アメリアの楽しげな声が聴こえてくる。
「お待たせしてすみません。あと帯だけなんで、入って大丈夫です」
晃が声を張る。
入ってきたアメリアや亮、スタッフ達は、宵の浴衣姿に大絶賛だった。
着付けのあとは休む間もなくアメリアによるメイクが始まった。

