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Memory of Night 2
第35章 同室者

「あー、冷えるね! やっぱり東北(こっち)の気温は関東とは比較にならないくらい寒いね」
そう言って、部屋に入るなり亮はエアコンを入れた。
食堂や撮影場所として使われていた先ほどの部屋は暖房がついていたから暖かかったが、廊下に出ると凍えそうなほど寒かった。
もちろん自室として用意されていたこの部屋も、暖房なんて入れてなかったので同じくらい寒い。
「……山ですしね」
晃はつぶやく。
それにもう夕刻。どんどん冷え込んでくる時間帯だった。
だが晃には、寒さよりも気になることがあった。
「ーー部屋、あなたとですか?」
「うん、そ。ちゃんとご挨拶してなかったね。改めてよろしくお願いします、晃くん。ローズのマスターをしております、三浦亮(みうらりょう)です。名前で呼んでくれていいからね」
「前に名刺をいただいてるし、二度もアパートに来ていただいてるのでさすがに覚えています」
差し出してくる右手に晃も右手を差し出す。軽い握手のあと、亮はにっこりと笑みを見せた。
何度か見たことがある、わざとらしくてうさんくさい営業用のもの。
設置された丸テーブルに座るよう促され、晃はそこに腰を下ろした。
この人と同室、なんとなく予想はしていた。部外者である自分が面識のある人など、宵と春加を除けばこの人くらいだ。

