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Memory of Night 2
第6章 呼び出し
「ん……っ」
唇に柔らかいものが触れた。そのまま熱く濡れた何かに口をこじ開けられそうになり、宵はびっくりして目を見開いた。
すぐに体を起こそうとしても、宵の上には別の体が乗っている。
もちろん晃だ。
「何してんだっ」
「ん? お姫様が寝てるから、キスで起こしてあげなきゃ、と思って。白雪姫とか眠り姫とか、有名な童話はみんなそうだろ?」
「子供向けの童話でベロチューなんかしねーんだよ、変態。どけよ」
のしかかってくる晃の体を押し退け、宵はどうにか体を起こした。
晃は肩をすくめて残念だなあと小さく呟いていたが、本気で襲ってくるつもりはなかったようで、からかうような笑みを見せた。
「今何時?」
「六時四十分。ごめんね、委員会の集まりがあって今帰ったとこなんだ」
晃は保健委員長だった。二年の頃からずっとそうで、今年も引き続き委員長らしい。
「夕飯どうする? もう遅いし、外食にしちゃおうか」
「……んー、そうすっか」
言いながら、宵は指を組んで大きく伸びをした。
「そういえば、さっきスマホなってたよ?」
「スマホ?」
「電話っぽかったけど」
宵は制服から着替えた時にテーブルに置いたままのスマートフォンを手に取った。着信が入っている。しかも七件。
何事かと着信履歴を見れば、それは全て春加からだった。
「こわ……」
「今日バイト入れてたとか?」
「いや、三者面談あったし休み取ったけど。電話してみるわ」