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Memory of Night 2
第36章 洞穴

「……終ワリ?」
アメリアが、キョロキョロと視線をさ迷わせる。次の揺れは来ない。
どうやら地震は、それだけだったようだ。
「……ビビらすなよ」
春加も呟き、三人の緊張の糸が一瞬ほどける。
だが宵は、小さな違和感に気付いて動きを止めた。
それは音だった。小石が地面に当たり、弾むような、微かな音。
視線をさ迷わせ、音の出所(でどころ)を探す。
震度1か2の揺れなど、いつもならそこまで動揺しない。おさまるのを待ち、テレビやネットで速報を見ながら、最近多いね、などと言い合うことはあったが、それくらいの揺れなら自分達の身に危険が及ぶことはないはずだ。
ーーそう、外や、人工的な建物の中ならば。
一通り見回し、ようやく音の正体に気付く。入り口付近の上部から、小さな欠片がパラパラと落ちるのが見えた。それが地面に当たり、不穏な音を立てたのだ。
もう一ヶ所、自分達がいるすぐ近くでも同じ音がした。
宵は弾かれたように立ち上がり、叫んだ。
「ーー洞穴からすぐ出ろ!」
宵の鋭い一喝は、洞穴内で反響し、何重にも響いた。
「……?」
きょとんとしたままのアメリアと目が合う。また、地面に細かな欠片達が落ちる音。

