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Memory of Night 2
第6章 呼び出し
賑わう商店街から一本外れた通りに、ハプニングバー『ローズ』はあった。薔薇をモチーフにしたピンク色の看板は、ネオンでギラギラしていた。
タクシーで店の前まで送ってもらい看板と建物を見て、晃はこんな場所だったっけと改めて思う。
卑猥なネオンの向こう、薄暗い階段を降りると、扉の向こうには別世界が広がっている。
受付にはすでに春加が立っていた。隣の店員に小声で告げる。
「この子は知り合いだから、身分証のチェックは大丈夫」
それから二人に向き直り、礼を言った。
「急に無理言って呼んで悪かったね。助かるわ」
「……今日なんか客多くね? イベントの日じゃなかったよな?」
イベントはだいたい水曜日だ。その日は席が足らないくらい客入りが激しいけれど、今日はそこまででもない。
「あー、ステージでやるようなショーってわけじゃないけど、プチイベントがあってね。まああとで話すよ。とりあえずバイト入って」
「……俺の飯はー?」
「おまえも食ってないの? ならキッチンで好きにつまんでいいから、ドリンク運べ」
「……はーい」
「頑張って」
あまりやる気のない返事の宵に、晃も声援を送る。宵は「じゃ」と片手をあげて、スタッフオンリーと書かれたドアの向こうに消えていった。