この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Memory of Night 2
第37章 パンドラの箱

 ーーそこまで話し終え、千鶴はぼんやりと、光るペットボトルを見つめる。視線はほとんどそこだった。
 隣に座る桃華によく似た少年の顔を、今はまだ見たくない。

「ーー今さらだけど、あんたの名前どっちで呼んだらいい?」

 唐突に、宵が言う。
 本当に唐突だな、と思う。

「どっちでもいいよ」

 名前なんてどうでもいい。そう思っていたが、いざ本名を明かすと、不思議と昔の記憶が鮮明に浮かんでくる気がした。
 卑猥で華やかな店ではなく、電車もバスもほとんど無いような片田舎の光景が、脳裏に映し出される。

「東北で産まれたんだ、母さん」
「……おまえ、知らなかったの?」

 驚いて思わず宵を振り向いた。

「うん、全然。母さんの親には会ったこともない。親父の方のじいちゃんばあちゃんは何度も会ったことがあったし、ガキの頃病気で死んだのも知ってる。五歳くらいの時だっけな。病気でばあちゃんが死んで、一年後くらいにじいちゃんも。……でも母さんの方の親には、一回も会ったことはなかった。当たり前に存在してたんだろうけど、話にすら出たことなかったから、本当に居るんかなって思ってた」
「存在してなかったら、あたしと桃華はどうやってこの世に産まれたんだ」
「……確かに」
/846ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ