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Memory of Night 2
第37章 パンドラの箱

 宵は微かに笑った。

「ーーまだ、生きてる?」

 千鶴は一瞬口をつぐんだ。
 ずっと、自分自身の保身のために黙っていた。昔の自分に真っ正直から向き合うのが怖かったからだ。それでも話し始めてしまえば、するすると本当の自分が溢れていく。さらけ出すことにもう躊躇いはなかった。
 だが、包み隠さず話してしまうことが、この少年を傷付けてしまうことだってある。何もかも、納得できる答えとは限らないのだ。
 ーー知らないままでいた方が、幸せな真実だってある。

(そんなのもう、今さらか……)

 千鶴はわずかに口元を綻ばせた。そんなヤワな精神力じゃないことくらい、彼と過ごせばわかる。見た目通りの繊細な少年だったら、今こんなふうに、笑って過ごしてはいられないだろう。
 話すと決めたのだ。今さらぐだぐだ理由を後付けし、はぐらかしたところで、意味はない。

「生きてるよ」
「……へぇ」

 宵からの返事はそれだけだった。深く突っ込んではこない。
 だが、疑問は抱いたはずだ。
 ーーだったらなぜ、桃華と秋広が死んだあの日、彼を引き取りに来なかったのか。血縁者が生きていたなら、真っ先に連絡が行くはずなのに。
 だがそれは、千鶴自身にも当てはまることだった。くたびれたスーツ姿の男が二人、脳裏に浮かんだ。何度も夢に見た。
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