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Memory of Night 2
第37章 パンドラの箱

 目の前で破られるとは思っていなかったのか、孝明はショックを隠せないようだった。傷ついた顔が千鶴からも見え、その表情に千鶴自身が傷ついていた。
 ーーどうして、そんな顔をするの?

「千鶴と過ごすのが目的じゃないなら、家に来んな。……可愛い妹をもてあそぶような真似をしたら、あたしはあんたを許さないよ」
「お、俺はただ、桃華さんと……」

 桃華は孝明の話を最後まで聞かず、踵を返して工場の建物内へと戻っていった。
 そのタイミングで、孝明は千鶴の存在に気付いたようだった。笑えるほど動揺して挙動不審にあちこちに視線をうつろわせている。
 気まずさに耐えきれなかったのか、そのまま逃げるように孝明は帰っていった。
 千鶴はその場に立ち尽くしたまま動けなかった。涙がとめどなく溢れてくる。孝明との幸福な日々が壊れてしまったこと、もう二度と戻らないであろうことは、動転した頭でもわかった。
 強い喪失感と、桃華への嫉妬が同じ熱量で押し寄せてくる。
 あんなに自分を好きだと言ってくれたのに。人の気持ちはあまりにもあっけなく他に移ってしまうのだと千鶴は痛感した。
 皮肉なことに、そう気づかせてくれたきっかけは姉の桃華だったのだ。
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