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Memory of Night 2
第38章 救援

そうだろうか、と思う。一緒に住んでいた頃の彼女との日々を思い出す。
桃華はこんな思考にはならない気がした。彼女の思考は多分、どんな状況に立たされたとしても死には傾かない。絶望的な大きな大きな何かが襲ってこようとも、自ら死を選択したりはしない。なんとなくだがそんな気がした。
だが宵は、首を横に振った。
「違う。母さんじゃなく、俺と。……俺もあんたと同じようなこと、考えたことあった」
そこで宵は口をつぐんだ。それは、両親を無くしたあの日だろうか。
千鶴は唇を噛んだ。全身の痛みが増したような気がした。
「続き話してくれたら、俺の話もしてやるよ。……まあ、興味ねーか」
軽く笑って、千鶴の手を離させた。
興味がなくはない。桃華と秋広が死んで、どうやって生きてきたのか、気にならなくはなかった。
「休憩終わりでいい? あんたと母さんの話、聞かせて」
「しつけーな、本当に」
あんな昔の話、何が楽しくて聞いているのかと思う。だが意外なほど、宵は真剣な顔で千鶴の話を聞いていたのだった。
昂った感情が落ち着いていく。こんなにも情緒が安定しなくなったのは、いつからだろう。
ーー桃華からそれを聞いた、あの日だろうか。
千鶴は水を一口飲み、再び続きを語りだした。

