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Memory of Night 2
第39章 幸福の形

 その日は酷く寒い夜だった。週末は初雪の予報で、少し浮かれていた。雪は東北の故郷を思い出す。
 関東は、雪はほとんど降らなかった。天気予報に雪マークがつくたびに少し期待してしまうが、実際は雨やみぞれ。そんなの雪とは言わない。
 膝まで積もるのが当たり前だった。玄関の前の雪かきで一日が始まる。ずぼ、ずぼ、と白い世界をかきわけて進む。
 そんな景色を懐かしく思った。だからこそ、亮の声が好きになった。
 故郷を思い出すからだ。一目惚れならぬ一聴き惚れだった。
 誘われるまま、千鶴は彼が経営するハプニングバーで働くこととなった。
 その日から、如月春加(きさらぎはるか)という源氏名を与えられ、そう名乗るようになった。千鶴という田舎くさい名より綺麗で好きだ。亮が名付けてくれた源氏名で呼ばれるたびに、別の自分になれるような気がした。

「僕には君が必要なんだ」

 亮がくれたその言葉も、千鶴には支えだった。この人に自分は必要とされている。それだけで嬉しかった。幸福だった。ようやく自分の居場所と幸せを見つけられた気がした。
 ーーこの人のためなら、なんだってしたいと思った。
 だが、その時はまだ店の実体も治安の悪さも、千鶴は何一つわかっていなかったのだ。
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