この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Memory of Night 2
第39章 幸福の形

 それだけだった。別に責めも怒りもしない。その態度になぜかむかついた。
 怒らせてやりたいのか、それとも傷つけてやりたいのか、もうどれが本当の感情なのかもわからなかった。

「誰もあたしを責めやしない。最初、そう言ったよな?」
「……言ったかもしんねーけど、それが何? 今の話なら別に」
「違う」

 きっとこれが、本当は一番吐き出したかった内容なのかもしれない。
 宵をずっと見れなかったのは、桃華を思い出すからだけじゃない。

「酔っ払って酷い二日酔いで寝ていた日、役所から二人組の男が来たんだ」

 くたびれたスーツ姿で、玄関に立っていた。

「おまえの両親が死んだこと、初めて聞いた」

 宵は千鶴を見ていた。今までと同じように、真剣な顔をして。

「二人のうちの一人が言った。『子供を引き取ってください』と。『あなたにはその権利がある』と。ーーおまえを引き取って育てるのは、本当はあたしだった。だけどあたしはそれを拒んだんだ。施設に行くかもしれないのをわかってて」

 酷い罪悪感で、しばらくものが食べられなかった。胃に入れるたびに全部吐き出してしまう。
 だから言えなかった。桃華との関係を、バラしたくなかった。
 必然、そこに辿り着いてしまうから。

「ーーあの日あたしは、おまえを捨てたんだよ」
/704ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ