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Memory of Night 2
第39章 幸福の形

「なんで俺に声をかけたの? 一緒に働かないかって」
「ーー桃華の代わりに、汚れてほしかっただけだよ」

 最初はそうだった。それ以外の理由など、一つもなかった。

「おまえを見かけた日思ったんだ。まっさらな桃華が嫌う世界に、引きずりこんでやりたいって。桃華はあの綺麗な容姿のせいで、何度も男に性的な欲望を向けられていた。電車も乗らなかったし露出した格好をしたこともなかったよ。ーーおまえも母親によく似てたから。店に連れてくれば、性的な欲望の的(まと)にできる。土方さんみたいな特殊な性癖持ちに絡まれればいいと思った。……そのまま犯されて、堕ちればいいって思った」

 とても、甥に向ける感情ではないことくらい、千鶴自身承知している。自分は歪んでいる。心の中は常にひずみばかりだ。
 犯されたあの日から歪んでしまったのか、それとももっと昔から何かが狂っていたのだろうか。
 桃華に対して酷い優越感を得た時から、少しずつ、おかしくなっていったのだろうか。

「……ひっでー理由」

 口ではそう返しながらも、宵は苦笑した。

「でも別に、それくらい平気だよ。緊縛好きなおっちゃんは確かにめんどくさいけど、慣れた。犯されそうになったって、自分の身くらい自分で守れる。性的なあれこれにも人並みの免疫はあるし、あの時給ならバイトに誘ってくれたこと、感謝したいくらい」
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