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Memory of Night 2
第42章 入院生活

高熱に浮かされて吐露した本音も、ぐずぐずになるまで泣いてしまったことも、いろいろ思い出すとそれはそれで死にたくなる。羞恥で。
「今回だって、電波さえありゃおまえにかけてたよ」
昔は上手く人を頼れなかった。SOSを他人に出すのが怖かったのも事実だ。誰かに頼ろうとすると、病室で眠る弱々しい志穂の顔が浮かぶのだ。誰かの重荷になることが怖かった。
だけど、今は違う。人に頼っていいんだと、晃が教えてくれたのだ。
ふいに抱きしめられた。
「あ、ばか、もうすぐ昼だし誰か来るって……」
宵はそう指摘するが、晃は宵の体を抱きしめたまま離そうとしなかった。
「ーーずっと暗闇の中で、怖かっただろ?」
「……うん。もうおまえと会えねーかもって思った」
そう思ったら、酷く心残りに感じた。
「でもなんか、絶対来てくれる気がしてた。根拠ねーけど。あの人と話していた時も、一人で穴掘ってた時も、最後の方苦しくて死ぬかもって思った時も、なんとなく晃なら来てくれそうって思った」
抱きしめる腕にさらに力がこもる。宵は左手のみしか使えなかったが、晃の背を抱きしめ返した。懐かしい晃の匂いは、この地球上のどこよりも落ち着く。

