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Memory of Night 2
第43章 受験の女神様

そんな気力があるわけもなかった。
相変わらずテンション高めの看護師に、千鶴はげんなりとため息をつく。
「あの看護師マジでうるさい。あたしのこと目の敵(かたき)にしやがって」
「あんたが脱走しようとしたりいろいろやらかすからだろ」
「だーかーら、誤解だって。電話したかっただけだし、点滴も邪魔だったからちょっとの間外そうとしただけ」
「それがダメなんだよ」
針の抜き差しは医療行為にあたるので、患者が勝手にしてはいけない。それは何かで聞いて宵ですらわかっていた。
「チェンジだチェンジ! 三日目にご飯持ってきてくれたサイトウさんて子がおとなしくて気配りもできてて良かった。ショートボブの。そのこに変えてもらって!」
「誰それ。ICUにいた時の人だろ? キャバじゃねーんだから、誰がいいとか言っても無理に決まってんだろ」
指名制の病院なんて聞いたことないし、過剰な気遣いやサービスを求めるな、とも思う。そもそも千鶴が問題行動ばかりしていたから冷たく扱われているだけな気がする。
宵はひっそりとため息をついた。
看護師よりも、千鶴の方が正直面倒くさい。
「そんなの言ってみなきゃわから……」
「なんか怠いし、寝る」
千鶴の言葉を遮るように、宵はベッドに潜り込んだ。
熱は38度後半だった。まあまあ高い気がする。そのせいか、倦怠感が強かった。診察が終わり、昼食までは特に何もない。しばらく眠ることにした。

