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Memory of Night 2
第43章 受験の女神様

 松葉杖でゆっくりと、晃たちの方に向かってくる。
 手を貸そうと真っ先に動いたのは倉木だった。

「来ないかと思ったわ」
「一昨日、やっと退院できたんだよ。俺も無理かと思った」

 宵の視線が晃を捉える。晃は我に返ったように、大好きな恋人の元へと駆け寄った。

「ーー宵!」

 ほとんど衝動的な行動だった。久々に顔が見れた嬉しさと、何よりも、元気な姿を見れた安心感がそうさせたのだろう。
 晃は宵の頬に手を添え、口付けていた。
 宵の灰色の瞳が大きく見開かれる。
 その場にいた誰一人として二人のキスは予想できなかったに違いない。付き合っていることを、高校の誰にも言ってはいなかったのだから。
 まわりが一瞬にして、どよめいた。
 宵自身、まさかここでいきなりキスされるとは思っていなかったようで、呆然としていた。
 時が止まったようなそんな雰囲気の中、倉木がコホン、と咳払いする。

「ここは外よ、外。まったく、大事な受験前にみんなが動揺するような行動は慎みなさい」

 微かな苦笑と共に、倉木は言い、改めて生徒たち一人一人をゆっくりと見回した。

「ーーさあ、そろそろ試験の時間よ。会場に入りましょう」

 生徒たちは頷き、会場に向かい歩いていく。
 それぞれの目標に向け、戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。
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