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Memory of Night 2
第2章 秘密のアルバイト

(まるで別世界だなー)
大河宵(たいがよい)は店から外に出るなり、軽く伸びをした。
ローズでは、ワイシャツにカマーベストと呼ばれる制服を着用する。襟元までしっかり締めるかちっとした格好は、窮屈で肩が凝る。先ほどの男に告げた通り、宵は二週間ほど前からローズでアルバイトをしていた。
ドリンクを運ぶだけの簡単な仕事で時給二千円。破格の値段に最初は驚いたが、バーの実態がわかれば、納得というものだ。
時刻は夜の九時半。商店街から一本奥に入った通りとはいえ、この時間になれば人通りはほぼない。ローズの中での喧騒が嘘のように、外の通りは静かだった。
やがて一台の赤いスポーツカーが宵の前に停まった。窓が開くと同時に黒いカーディガンを投げられる。
宵がキャッチすると、運転席に乗っていた女性がたしなめるように言った。
「それ、羽織れ。高校の制服で店から出るなって何度も言ってるだろ」
「これしか持ってきてねーもん」
「羽織ものだけでいいから、なんか持ってこいよ」
「……はーい」
明らかに口先だけとわかる返事。宵は悪びれない様子でスポーツカーの助手席に乗り込んだ。

