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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
面と向かって迷惑とは言われなかったが、昨日の桃華はずっと変な顔をしていた。ウザがられていたような気もするし。
「なんか、人に言いづらいような事情があるかもしれないだろ。ーーおまえ、香椎さんのこと好きなの?」
「え?」
秋広は驚いて、頭の中がフリーズした。
「いやいやいやいや。……僕なんかじゃ桃華さんには全然釣り合わないよ」
「だよな、うん」
間髪入れずに相澤の全力の肯定が返ってきた。
秋広はずっこけそうになる。そう思うなら初めから言うなよ、と心のうちで悪態をついた。
「香椎さんのこと、最初は愛想ないなあくらいに思ってたけど、よく見るとすげー綺麗な顔してるもんな。確かに、秋広には釣り合わないな」
そう言い、携帯の向こうで相澤はけたけたと笑っている。
「でも、やっぱりコンロは届ける」
「……なんでそうなる」
相澤はさらに笑う。
「まあ、妙におせっかいなくせしてちょっと世間とズレてるところが面白いし、秋広の良いところなのは俺も認めるけどな」
「ズレてる? どういう意味?」
秋広にはよく意味がわからず、聞き返した。
だがはぐらかされてしまう。
また蹴り飛ばされないよう気をつけろよ、と忠告を受け、通話は切れた。
ーー早速秋広はその週の土曜、買ったきりだったIHコンロを家から見つけだし、桃華の家に持っていったのだった。

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