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Memory of Night 2
第50章 episode of 0

スーパーは近かった。車で五分もかからず着いた。
(ってお金を渡されても、何を買ってけば……。そもそも何が好きなんだろう)
昨日の夜事務所に来たときに、甘いものは苦手と言っていた。逆に言うと桃華の食の好みについては、それしか知らない。
だいぶハードルが高い買い出しだ。
(女性って、肉より魚とか、野菜の方が好きなのかな)
かなり偏見もあったが、なんとなくそんなイメージはあった。
(あ、冷蔵庫もないし)
そういえば、調理器具はあるのだろうか。
(フライパンはあるはず)
悲しいことに、殴られたので覚えていた。
(ホームセンターも寄ってこうかな)
鍋も一つ、買っていくことにした。たとえあったとしても、一つくらい増えたところで邪魔にはならないだろう。
(百均も寄ろうかな……)
細かな器具はあるかわからないし。今は百均でもいろいろそろう。少しでも安く揃えられた方がいいだろう。要らないと言われたら、自分が引き取ればいいし。
(なんだか一人暮らしを始めた時みたいだな)
秋広は少し楽しくなった。新しい生活を始める時の、わくわくした気持ちを思い出していた。
(まるで一緒に……)
そこまで思考が行き着き、秋広は一人ぶんぶんと首を振った。
「いやいやいや、僕、なんかキモいな……」
「……え?」
最後は無意識のうちに口に出ていた。
近くにいた子供が、急につぶやきだした秋広に驚き、振り返る。
「ママー、なんかあの人ニヤニヤして一人で何か言ってる」
「もう、あんまり知らない他人(ひと)のことじろじろ見ちゃダメよっ。指も差さない!」
子供が指し示した先はどう見ても自分で、秋広は真っ赤になり、慌ててその場を離れたのだった。
 

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