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Memory of Night 2
第50章 episode of 0

 三十分後。
 秋広の手料理が出来上がった。
 桃華が座るちゃぶ台に持っていくと、その料理を見て、桃華は微妙な表情をした。

「……なんで、粥?」
「一応雑炊のつもりなんですけど」

 秋広が振る舞った手料理は、鶏肉、葱、卵を使ったシンプルな雑炊だった。
 正直、何を作ろうか迷った。冷蔵庫が無いので買ってきた材料も常温で保存ができる野菜中心だった。卵は栄養価が高いので、どうしても食べてほしくて、四個入りのものを買った。生肉は鶏肉のみで、魚は缶詰めを幾つか買ってきた。
 肉が好きだと言われ、照り焼きにしても良かったが、いろいろ迷った末、雑炊に決めたのだ。

「桃華さん、病み上がりだったので胃に優しいものにしてみました」
「だから、たいしたことないって」
「照り焼きとかの方が良かったですか? 肉買ってきて作りましょうか?」
「……そこまではいい」

 桃華はスプーンで雑炊を口に運ぶ。その瞬間、びっくりしたように顔を上げた。

「うま……。これ、味付けも自分でしたの?」
「はい、本だしと調味料で。ーーあ、おかわりもありますが」
「食う!」

 あっという間に茶碗がからになっていた。

「同じくらいの量で平気ですか?」
「うん。いっぱいあるなら、秋広も食えよ」
「じゃあ、僕もいただきます。ありがとうございます」
「いただくも何も、そっちが作ったんじゃん」
「あ……はい」

 確かに、言われてみれば作ったのは自分だ。でも材料費は桃華だし、などととりとめもなく考える。
 桃華と自分の雑炊をよそりながら、緊張が少しほぐれていることに気づいたのだった。
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