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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
「ごちそうさま。あー、腹いっぱい」
「僕もです。お粗末様でした」
「……いや、マジで旨かったよ。久々に手作りのもん食った気がする」
「……ちゃんと自炊しないと栄養偏りますよ?」
「そんなん考えたことねーや。腹が膨れればいいと思ってた」
「全然よくないです」
秋広の言葉に、桃華は首をかしげて聞いてくる。
「料理、誰に教わったんだ? 母親?」
「え」
秋広は押し黙った。
「母親、と言えば母親ですかね。僕、子供の頃からそういうのに興味があったんですよね。料理とか、掃除とか、編み物とか。……女性がするようなこと。学校から帰るとよく母親の夕食作り手伝ったりしてました」
「へー、できた子供だな。その時教わったのか」
「いや、あんまり教えてはくれなかったですよ、料理」
「え、なんで? 子供が積極的に家事手伝ってくれるなんて、母親は助かっただろ。どんどん教えてやってもらえば楽できるじゃん」
桃華の言い回しに、つい笑ってしまう。
そういう少しずるいことを考えるような母親ではなかった。秋広はその頃の母の言葉を思い返した。
「ーー秋広、そういうのは覚えなくてもいいのよ。お家のことは、いつか秋広のお嫁さんになる人がやってくれるから。料理も掃除もお裁縫も、女の子が覚えることだからね。ありがとう。秋広は友達と、外に遊びに行ってらっしゃい」

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