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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
その次の週は桃華の元へは行かなかったが、翌週の土曜は行った。
昼頃行くと、また寝起き姿で出てきて秋広に万札を一枚差し出す。
食材を買ってこいということのようだ。
「冷蔵庫、買ったよ」
「あ、そうなんですか?」
「だから肉でなんか作って」
「はい、承知しました」
その日は生姜焼きを作った。
桃華が購入した冷蔵庫は一人暮らし用にしてはかなり大きかった。確かに、これなら食材もたくさん入るし、大家からの差し入れも入る。
桃華の家には食材だけでなく、調味料も少ない。受け取った万札で、まずはそれを揃えた。だがさすがにそんなに買い物はしなかったので、約半分のお釣りを返した。
そうして翌週も、桃華の家に行った。さすがに二週続けては頻度が多すぎではないかと思ったが、肉と一緒に買った幾つかの食材が心配だった。
桃華はいつものように、寝起きスタイルで出てくる。
案の定冷蔵庫の中は秋広がいた時のままだ。
秋広は食材の残りで炒飯を作り、食べたあとにスーパーに買い物に行った。秋広もご飯を食べているので、その日は秋広が払った。
肉や魚を買い、一部を冷蔵庫に、残りは小分けにして冷凍した。
また翌週、桃華の家に行く。食材はそのまま。秋広は冷蔵庫にあるもので、昼食を作った。
気付けば毎週のように、桃華の家に行くようになっていた。
(これって……)
なんだか変な感じがしていたが、秋広は桃華を訪ねて行くことを楽しみにしている自分の気持ちに気付き始めていた。
桃華は一度だって、自分を部屋に上げることを拒まなかった。
自分のことをどんなふうに思っているのか、少しだけ気になったが、尋ねる度胸は無いのであった。

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